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2026.06.12
Web運用

「アクセシビリティ対応、何から始めればいいか分からない」——現場の不安に、私たちがまず整理したこと

「アクセシビリティって、義務化されたんですよね?」
「うちのサイトは、このままで大丈夫なんでしょうか?」
「何から確認すればいいのか分からなくて、止まっています」

最近、クライアントやチームの中で、こうした声を聞くことが増えました。

Webサイトを運用していると、更新作業や修正依頼、リンク切れ、表示崩れ、SEO設定の確認など、日々見るべき範囲はどんどん広がっていきます。その中に「アクセシビリティ対応」も加わると、どこまで自分たちで見るべきなのか、どこから専門家に相談すべきなのか、判断しづらくなることがあります。

私たち自身も、最初からきれいに整理できていたわけではありません。
むしろ「義務化」という言葉を見て、すべてのページを今すぐ完全対応しなければならないのではないかと、身構えてしまった時期がありました。

ただ、調べながら現場で運用に組み込んでいくうちに、少しずつ考え方が変わってきました。

大切なのは、いきなり完璧を目指すことではなく、まず「自動で拾える範囲」と「人の目で見る範囲」を分け、続けられる形にすることでした。

この記事では、私たちが現場でアクセシビリティに関する相談を受けたとき、どのように整理し、どのような手順で運用に組み込んでいるのかを紹介します。


なぜこの課題が起きるのか

アクセシビリティ対応が難しく感じられる理由は、単に確認項目が多いからではありません。

「義務化」という言葉の印象が強く、対応範囲の切り分けがしづらいこと。
そして、専門的な診断と日々のWeb運用のあいだに距離があること。

この2つが重なることで、現場では「何から始めればいいのか分からない」という状態になりやすいと感じています。

背景1:「合理的配慮」と「環境の整備」が混同されやすい

まず整理したいのは、「義務化」の中身です。

2024年4月1日に改正障害者差別解消法が施行され、民間の事業者にも「合理的配慮」の提供が義務づけられました。

一方で、Webサイトをあらかじめアクセシブルな状態に整えておくことは「環境の整備」にあたり、こちらは努力義務という位置づけです。目安となる規格としては、JIS X 8341-3:2016があります。

整理すると、次のようになります。

  • 合理的配慮:求められたときに、過重な負担にならない範囲で対応する。これは義務にあたります。
  • 環境の整備:あらかじめWebサイトをアクセシブルにしておく。これは努力義務にあたります。

私たちも最初は、「義務化」という言葉だけを見て、全ページをすぐに完全対応しなければならないのではないかと考えていました。

しかし、合理的配慮と環境の整備は、同じ話ではありません。
この違いを理解できてから、ようやく現場で優先順位をつけやすくなりました。

私たちが置いた前提は、**「やらないとすぐ違法」ではなく、「求められたときに応えられる状態を、運用で少しずつ整えておく」**という考え方です。

背景2:一度に完璧を目指すと、かえって進まなくなる

もうひとつの背景は、アクセシビリティ対応を「一度に全部やるもの」と考えてしまいやすいことです。

私たちも、あるクライアントのサイトで、一度に完全対応しようとしたことがありました。外部の専門的な診断を入れ、出てきた指摘をすべてつぶそうとしたのです。

しかし、結果として手が止まりました。

指摘は数十件単位で出てきます。
その一つひとつに専門用語が並びます。

  • どれを急ぐべきか、どれを後で対応してよいのか判断しづらい
  • 日々の更新や修正依頼と並行して対応する余力がない
  • 指摘の意味を読み解くだけで時間がかかる

結果として、診断結果を開かなくなってしまいました。

もちろん、専門的な診断には大きな意味があります。
ただし、診断結果を日々の運用に落とし込めなければ、対応は続きません。

この経験から私たちは、アクセシビリティ対応を「専門診断を入れて終わり」にするのではなく、まずWeb運用の中で回せる形に分けて考えるようになりました。


解決するためのSTEP

ここからは、私たちが実際に現場で行っている整理方法を、STEPに分けて紹介します。

ポイントは、すべてを自動化しようとしないことです。

自動で拾える基本的な不具合はツールで確認する。
アクセシビリティ特有の判断が必要な部分は、人の目で見る。
そして、その確認ルールを毎回の運用に組み込む。

この順番にすることで、アクセシビリティ対応を「特別な作業」ではなく、Webサイト運用の一部として続けやすくなります。

STEP 1:現状を可視化する

まず行うのは、Webサイトの状態を可視化することです。

ここで大切なのは、「アクセシビリティを完全に判定する」のではなく、まず誰にとっても使いづらさにつながる基本的な不具合を見つけることです。

たとえば、次のような状態です。

  • リンク切れがある
  • 画像が読み込まれていない
  • titleやdescriptionなどのSEO設定に漏れがある
  • 計測タグが未設置になっている
  • PCとスマートフォンで表示が崩れている箇所がある

これらは、アクセシビリティそのものの判定ではありません。
しかし、「リンクが切れている」「画像が出ない」「スマートフォンだけ表示が崩れている」といった状態は、ユーザーにとって使いづらさに直結します。

私たちは、こうした基本的な不具合を、MONJI+のWebサイト異常検知&改善機能で確認し、修正依頼として運用に組み込んでいます。

一方で、ここで正直に分けておきたいことがあります。

画像のalt属性が入っているか。
その説明が画像の内容に合っているか。
見出しが順番どおりに並んでいるか。
色だけで情報を伝えていないか。

こうしたアクセシビリティに特有の項目は、自動巡回だけでは判定しきれません。
そのため、私たちは「自動でチェックできます」とは言わず、人の目で見る範囲として切り分けています。

STEP 2:月次運用として記録・一覧化する

次に、自動で拾える範囲と人が見る範囲を、月次運用や公開前チェックの中に組み込みます。

担当者の記憶や気合いに頼ると、確認項目は人によってばらつきます。
忙しい時期には、どうしてもチェックが抜けやすくなります。

そこで私たちは、公開前に確認したい項目をMONJI+のチェックリストに登録し、修正依頼を作る画面で毎回確認するようにしました。

たとえば、次のような項目です。

  1. 画像にalt属性が入っていて、内容を表す説明になっているか
  2. 見出しが順番どおりに並んでいるか、見出しの飛び級がないか
  3. リンクの文言が「こちら」だけになっていないか
  4. 色だけで情報を伝えている箇所がないか

こうした項目をチェックリスト化しておくと、「確認する人だけが覚えている状態」から抜け出しやすくなります。

また、クライアントと確認するときは、フィードバックの公開リンクを使い、同じ画面を見ながら確認します。メールで指摘を往復させると、どの指摘がどうなったのか分かりにくくなるためです。

さらに、チームで決めた確認ルールはWikiに残します。
担当者が変わっても同じ確認を続けられるようにしておくことが、運用を止めないために大切だと感じています。

STEP 3:数カ月分の実績をもとに交渉・提案する

アクセシビリティに関する対応は、単発の確認で終わらせるよりも、数カ月分の運用実績として残しておくほうが、次の提案につなげやすくなります。

たとえば、毎月どのような不具合が検知されたのか。
公開前チェックで、どのような指摘が出たのか。
どの項目は自動で拾えて、どの項目は人の目で確認したのか。

こうした情報が残っていると、クライアントに対しても「今後どこを強化すべきか」を説明しやすくなります。

アクセシビリティ対応は、いきなり大きな提案にする必要はありません。
まずはWebサイト運用の中で気づける範囲を広げ、その記録を残し、必要に応じて専門的な診断や追加対応を検討する。

その流れを作ることが、現場では現実的な進め方だと考えています。


実際に起きた変化

対応を「自動で拾える範囲」と「人が見る範囲」に分けてから、私たちの現場ではアクセシビリティに関する確認が止まりにくくなりました。

以前は、専門的な診断結果を前にして、どこから手をつければよいか分からず、結果として対応が進まないことがありました。

しかし今は、まずリンク切れや画像の読み込み失敗、SEO設定の漏れ、計測タグの未設置、PCとスマートフォンの表示崩れといった基本的な不具合を自動で拾います。

そのうえで、alt属性や見出し構造、リンク文言、色だけに依存した表現など、人の目で確認すべき項目を公開前チェックリストで確認します。

この二段構えにしてから、「全部を一度にやらなければ」と身構えるのではなく、日々の運用の中で少しずつ改善できるようになりました。

クライアントに対しても、できることとできないことを分けて説明しやすくなりました。

「ここまでは運用の中で確認できます」
「ここから先は、専門的な診断や支援技術を使った検証が必要です」

このように伝えることで、過度に不安をあおることなく、現実的な進め方を一緒に考えられるようになったと感じています。


注意点・限界

ここまで紹介した方法は、アクセシビリティに完全対応するための方法ではありません。

私たちは、アクセシビリティに完全対応できるとも、すべての問題を防げるとも言いません。

支援技術を使った実際の検証や、JIS X 8341-3:2016などの規格への準拠を判定する作業は、専門的な領域として残ります。必要な場面では、専門家と組んで進めるべきだと考えています。

私たちができるのは、あくまでWebサイト運用の中で気づける範囲を広げることです。

自動で拾える基本的な不具合を修正依頼に組み込む。
人の目で見る項目をチェックリスト化する。
チームで決めたルールをWikiに残す。
クライアントと同じ画面を見ながら確認する。

このように、続けられる形にしておくことが、現場でできる第一歩だと考えています。

「アクセシビリティって義務化されたんですよね?」と聞かれたとき、私たちは全部を引き受けられるふりはしません。

できることと、専門家に相談すべきことを分けて、正直に伝える。
そのほうが、結果的に信頼してもらえると感じています。


現場から生まれたWebサイト運用支援プラットフォーム【MONJI+】

こうしたWebサイト運用の現場で感じてきた課題を解決するために生まれたのが、Webサイト運用支援プラットフォームMONJI+です。

MONJI+は、Webサイト運用に携わる「人」を1つの「チーム」にまとめ、Webサイト運用のあらゆるフェーズを横断して、課題を解決するプラットフォームです。

私たちは、最初から“完成されたプロダクト”を開発することを目指していません。

本当に向き合うべき課題はWebサイト運用の現場にあり、だからこそ私たちは、現場のリアルな声と向き合い続けてきました。

一つひとつの声を受け止めながら、小さな違和感を解消するアップデートを重ね、現場の課題から新たな機能も生まれてきました。

そうした積み重ねを経て、MONJI+は世界77ヶ国のユーザーさまに支えられる存在となりました。

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Webサイト運用の現場で働く人が、誇りを持って「この仕事が好きだ」と言える世界。

▼その実現のために、あなたの声をお待ちしております
https://monji.tech/ja/plus/co-creation/


まとめ

アクセシビリティ対応は、「義務化されたから、すべてを今すぐ完全に直さなければならない」と捉えると、現場では手が止まりやすくなります。

まずは、合理的配慮と環境の整備の違いを整理すること。
そのうえで、自動で拾える基本的な不具合と、人の目で見るアクセシビリティ特有の項目を分けること。

この切り分けができると、日々のWebサイト運用の中で、少しずつ対応を進めやすくなります。

MONJI+では、リンク切れや画像の読み込み失敗、SEO設定や計測タグの漏れ、PCとスマートフォンの表示差異などを確認し、修正依頼として運用に組み込めます。

一方で、alt属性の内容や見出し構造、リンク文言、色だけに依存した情報伝達などは、人の目で確認する必要があります。

完璧を一度に目指すのではなく、気づける範囲を広げ、ルールを残し、続けられる形にする。

それが、私たちが現場で「アクセシビリティ対応、何から始めればいいですか?」と聞かれたときに伝えている、最初の一歩です。

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