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2026.07.13
Web運用

「マニュアルを作る時間がない」——AI時代のWeb運用で、人が本当に書くべきもの

「マニュアルを作らないといけないのは分かっているけれど、毎回あと回しになってしまう」

Webサイトの運用や開発に関わる小さなチームでは、こうした声をよく聞きます。

新しい機能を追加する。
既存ページを修正する。
クライアントごとの運用ルールを調整する。

そのたびに決めごとは増えていくのに、マニュアルとして整理する時間はなかなか取れない。

気づけば、そのやり方を知っているのは担当者の頭の中だけ。

新しい人が入ったときに、過去の経緯や判断理由を説明するところから始めなければいけない。

私たちも、同じ課題を持っていました。

ただ最近、Claudeと一緒に開発や制作を進める中で、少し状況が変わりました。

手順書は「気合を入れてあとから書くもの」ではなく、作業の途中である程度「自然に溜まっていくもの」になったのです。

一方で、実際に運用してみると、AIが自然に残してくれる記録と、人が意識して書かないと残らない情報は、はっきり分かれていました。

この記事では、AIを使った開発・Web運用の現場で、どこまでをAIに任せ、どこからを人がマニュアルとして書くべきかを整理します。


なぜマニュアル作成はあと回しになりやすいのか

小さなチームでは、マニュアル作成の重要性は分かっていても、目の前の作業が優先されがちです。

公開前の確認。
機能修正。
クライアント対応。
社内共有。
緊急の差し替え。

こうした日々の対応に追われる中で、運用ルールや判断理由を整理する時間は後回しになってしまいます。

背景1:AIへの指示そのものが、作業記録として残るようになった

Claudeに開発や修正を頼むとき、私たちはまず言葉で指示を出します。

たとえば、次のような指示です。

  • この機能はこういう狙いで作りたい
  • この条件のときは、こう動いてほしい
  • この表現は使わず、代わりにこう書きたい
  • 前回この方法を試したら、こういう理由でうまくいかなかった
  • この画面では、ここを優先してほしい

こうした指示は、単なる依頼文ではありません。

あとから読み返すと、「なぜそのように作ったのか」を説明する記録にもなっています。

つまり、作るために書いた文章が、そのまま手順書や判断メモの一部になる。

以前なら、作業後に別途まとめる必要があった情報が、AIとのやり取りの中に自然と残るようになりました。

半年ほど続けてみると、誰かがマニュアル作成の時間を取ったわけではないのに、それなりの量の記録が溜まっていました。

これが、AI時代のWeb運用で起きている大きな変化です。

背景2:ただし、残るのは「作業中に言葉にしたこと」だけ

一方で、AIとのやり取りを読み返して分かったこともあります。

そこに残っていたのは、主に次のような情報でした。

  • この画面では、こういう条件のときだけボタンを出す
  • この言葉は使わない。代わりにこう書く
  • 前にこう直したら、こういう理由でうまくいかなかった
  • この実装では、ここを優先する
  • この条件分岐では、例外としてこの動きを許可する

どれも、作業の途中で必要になり、その場で言葉にしたものです。

つまり、AIに指示するために言語化された情報は残ります。

逆に言えば、作業の中で言葉にしなかったことは、どこにも残りません。

特に抜けやすいのが、次のような情報です。

  • そもそも、この機能は何のためにあるのか
  • 全体として、どこを目指しているのか
  • 似たやり方がある中で、なぜこの方法を選んだのか
  • なぜ別の選択肢を捨てたのか
  • どこは絶対に譲れず、どこは調整してよいのか
  • 新しく入った人が、最初にどこを見ればよいのか

これらは、実際に手を動かす中では意外と言葉になりません。

しかし、新しく入った人や、あとから運用を引き継ぐ人にとっては、最初に知りたい情報です。

AIが残してくれるのは、いわば「点」です。

一つひとつは具体的で正確でも、点だけを集めても全体の地図にはなりません。

だからこそ、点をつなぐ線と、最初に読む地図は、人が意識して書く必要があります。


解決するためのSTEP

マニュアル作成を重くしすぎると、また後回しになります。

大切なのは、AIが自然に残してくれる情報と、人が書くべき情報を分けることです。

すべてを人が書くのではなく、人が書くべき部分に集中する。

その考え方で、手順を整理します。

STEP 1:すでに残っている記録を可視化する

まずやるべきことは、すでにどんな記録が残っているかを見直すことです。

AIとのやり取り、チャット、タスク管理ツール、議事メモ、修正依頼の履歴などを見てみると、意外と多くの情報がすでに残っています。

この段階では、いきなり立派なマニュアルを作ろうとしなくて大丈夫です。

まずは、記録を次の2つに分けてみます。

作業の中で自然に言葉になっているもの

たとえば、次のような情報です。

  • 条件分岐
  • 実装の決めごと
  • 表現ルール
  • 過去の失敗とその理由
  • 特定の画面での挙動
  • 修正時の注意点

これは、AIとのやり取りの中に残りやすい情報です。

Claudeに指示するために書いた文章が、そのまま記録として使えることがあります。

作業の外側にあるもの

一方で、次のような情報は意識して書かないと残りにくいです。

  • 目的
  • 全体像
  • 判断の理由
  • 捨てた選択肢
  • 現場の事情
  • 譲れない判断基準
  • 新しく入った人が最初に読むべき前提

この線引きができると、マニュアル作成の負担はかなり軽くなります。

すべてを人が書くのではなく、「人が書くべきもの」だけに集中できるからです。

Webサイト運用の決めごとや確認履歴を一か所に整理したい場合は、MONJI+のようなWeb運用プラットフォームを使い、チームで共有できる場所を用意しておくと、あとから見返しやすくなります。

STEP 2:月次や区切りのタイミングで記録を整理する

次に、溜まった記録をチームで見られる場所にまとめます。

ここで大切なのは、AIが残した記録と、人が書いた地図を別々の場所に散らばらせないことです。

たとえば、次のような状態では、情報は存在していても、次の人が拾えません。

  • AIとのやり取りは個人のアカウントに残っている
  • 全体方針は誰かのメモにある
  • 案件ごとのルールはチャットの過去ログに埋もれている
  • 修正履歴はタスク管理ツールにある
  • 重要な判断は口頭のまま残っていない

私たちの場合は、次のように置き分けて考えるようにしました。

  • 全体で共有する決めごと
  • 案件ごとに分けたい運用ルール
  • 新しく入った人が最初に読む地図
  • 今も生きている判断メモ
  • 過去に試してやめた選択肢
  • 次に似た作業をするときに見返したい記録

このように整理しておくと、AIが溜めた細かい記録と、人が書いた全体像を一緒に扱えるようになります。

特にWeb運用では、サイトごとの確認ルール、修正履歴、表記ルール、関係者ごとの判断基準などが分散しがちです。

MONJI+では、こうしたWebサイト運用の決めごとや確認の履歴を一か所にまとめ、全体で共有するものと案件ごとに分けたいものを置き分けられます。

毎日きれいに整理する必要はありません。

月次やプロジェクトの区切りで、「今も使う情報」と「もう古い情報」を見直すだけでも、記録はかなり使いやすくなります。

STEP 3:数カ月分の記録を、引き継ぎや提案に使う

記録が数カ月分溜まると、単なるメモではなく、チームの運用改善に使える材料になります。

たとえば、新しいメンバーに引き継ぐとき。

「過去ログを見ておいて」ではなく、

まずこの地図を読んで、細かい判断はこの記録を見てください。

と渡せるようになります。

これだけで、受け取る側の負担はかなり変わります。

クライアントに運用内容を説明するときも同じです。

記録が残っていれば、次のようなことを説明しやすくなります。

  • どのような確認をしているのか
  • どんな判断が積み重なっているのか
  • どこに手間がかかっているのか
  • なぜこの運用ルールがあるのか
  • 以前は何を試し、なぜやめたのか
  • 今後どこを改善すべきか

こうした情報が整理されていれば、Web運用の価値を説明しやすくなります。

ただし、ここでも主役はツールではありません。

大切なのは、AIが自然に残してくれる記録と、人が書くべきマニュアルを分け、次の人が使える形に整えることです。

そのための置き場所として、Web運用プラットフォームを活用する。

この順番で考えると、ツールが目的化しにくくなります。


実際に起きた変化

AIと一緒に開発・制作を進めるようになってから、私たちの中で変わったことがあります。

それは、マニュアル作成を「全部あとから人が書く仕事」と考えなくなったことです。

作業中に自然に言葉になるものは、AIとのやり取りの中に残る。

条件分岐や実装の決めごと、表現ルール、過去の失敗とその理由は、指示や修正依頼のついでに蓄積されていく。

一方で、目的や全体像、判断理由、捨てた選択肢は、人が意識して書く。

この役割分担ができると、マニュアル作成の負担は「全部を書くこと」から「AIには残せないものを書くこと」に変わりました。

新しく入った人に共有するときも、ただ大量の記録を渡すのではなく、最初に読む一枚を用意することの大切さが分かりました。

その一枚に書くべきことは、長くなくて構いません。

たとえば、次のような内容です。

  • 何のためにこの機能や運用があるのか
  • 全体はどういう作りになっているのか
  • まずどこを見ればいいのか
  • どの判断は重要で、どこは調整してよいのか
  • 過去にやめた選択肢は何か
  • 困ったときにどの記録を見ればよいのか

これだけでも、断片的な記録はずっと読みやすくなります。

AIが点を溜め、人が線と地図を書く。

この分担にしてから、記録がようやく「あとから使えるもの」になってきました。


注意点・限界

AIに記録を任せるときに、注意したいこともあります。

AIが残せるのは、言葉にされたものだけ

まず、AIが残せるのは、あくまで言葉にされたものだけです。

捨てた選択肢、現場で暗黙に共有されている事情、譲れない判断基準は、指示に含めなければ残りません。

実際に私たちも、溜まった記録をClaudeに渡して「新人向けにまとめて」と依頼したことがあります。

返ってきたのは、きれいな要約でした。

間違いも少なく、文章としては整っていました。

でも、読んでも判断の背景が分からなかったのです。

なぜこの道を選んだのか。
どの道を捨てたのか。
どこは絶対に譲れないのか。
どこは現場に合わせて変えてよいのか。

こうした情報は、元の記録に書かれていなければ、AIにも書けません。

これはAIが役に立たないという話ではありません。

AIは、存在する記録を整理することには向いています。

ただし、そもそも記録されていない判断の背景を、あとから正確に復元することはできません。

人が書いた地図も古くなる

もうひとつの注意点は、一度書いた地図も古くなることです。

AIとのやり取りによって、点は増えていきます。

しかし、地図は勝手には更新されません。

たとえば、次のような変化が起きることがあります。

  • 方針が変わった
  • 以前は捨てた選択肢を選び直した
  • 運用ルールが案件ごとに変わった
  • チーム体制が変わった
  • クライアントの確認フローが変わった
  • 重要な判断基準が変わった

こうした変化が起きたときに人が手を入れないと、地図は昔のまま残ってしまいます。

古い地図は、場合によっては無いよりも危険です。新しく入った人を、間違った方向へ案内してしまうからです。

だから、地図は毎日更新する必要はありません。

ただし、大きく方向が変わったときには、人が見直す時間を取る。

この運用まで含めて、AI時代のマニュアル作成だと考えています。


現場から生まれたWeb運用プラットフォーム【MONJI+】

AIと一緒に作れることは、これからもっと当たり前になります。

だからこそ効いてくるのは、

「AIが自然に残してくれるもの」
「人が意識して書かないと残らないもの」

を、同じ場所にそろえて、次の人が拾える状態にしておくことです。

MONJI+は、Webサイト運用の決めごとや全体のルール、確認の履歴を一か所にまとめるためのWeb運用プラットフォームです。

全体で共有するものと、案件ごとに分けたいものを置き分けられるので、AIが溜めた記録も、人が書いた地図も、次の人にちゃんと届きます。

▼MONJI+について
https://monji.tech/ja/plus/

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Web運用の現場で感じている課題や、「こういう使い方ができると助かる」といった声があれば、ぜひ共創ページからお聞かせください。


まとめ

AIを使った開発やWeb運用では、手順書の一部は自然に溜まるようになりました。

Claudeに出した指示や修正依頼は、そのまま「なぜそう作ったのか」「どう直したのか」を説明する記録になります。

ただし、自然に溜まるのは、作業の中で言葉にしたことだけです。

目的、全体像、判断の理由、捨てた選択肢、現場の事情は、人が意識して書かないと残りません。

だから、これからのマニュアル作成で大切なのは、すべてを人が書くことではありません。

作業中に自然に言葉になるものはAIに任せる。
作業の外側にあるものは人が書く。
新しく入った人が最初に読む地図だけは、人が用意する。
そして、方向が変わったときには、その地図を更新する。

この役割分担ができると、マニュアルは「作って終わり」ではなく、チームで使い続けられる運用資産になります。

AIが溜めた点と、人が描いた地図を同じ場所にそろえること。

それが、AI時代のWeb運用で、次の人に引き継げるチームづくりの第一歩だと感じています。

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