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「保守費を上げたいのに、根拠の出し方が分からない」——その声から私たちが始めたこと

MONJI+をご利用いただいているWeb制作会社の方から、こんな声をいただきました。

「保守費を値上げしたいとは思っているんですが、クライアントへの説明の根拠が出せなくて、ずっと言い出せないままです」

この声を聞いて、私たちが最初に思ったのは「これは私たちも長く同じ状態にいた」ということでした。作業量は確実に増えている。でも、月次の保守で何をしているかを可視化できていないと、単価を上げる根拠を出す前の話に詰まってしまいます。

この記事では、私たちが実際に動かした「保守の可視化 → 月次メニュー化 → 単価交渉」の流れを、手順として整理します。値上げを切り出す技術の話ではなく、値上げを切り出せる状態をどうつくるかという運用設計の話です。

なぜWeb保守費の値上げが難しいのか

相場は動いても、既存契約の単価は自動では変わらない

2026年現在、WordPress保守の月額相場は数年前までの数万円台から、5〜10万円台が適正とされる水準に上がっています。WordPressコアやプラグインの更新頻度の増加、セキュリティ対応の比重拡大、人件費の上昇が背景にあります。

相場が変わっても、既存の保守契約は自動では変わりません。私たちも、数年前に結んだ単価のまま動いていない契約が複数ある状態から、この問題に向き合いました。

保守の作業はクライアントから見えない

単価見直しに必要なのは、「何にいくら払っているか」をクライアントが納得できる形で提示することです。しかし保守の作業は、その大半がクライアントから見えない場所で完結します。

  • プラグイン更新の確認と互換性チェック
  • 表示崩れの全ページ確認
  • リンク切れ・画像切れの検知
  • タグ設置状態の確認
  • 異常の早期発見と対応

一つひとつ手を動かしているのに、クライアントのダッシュボード上には何も残りません。見えない作業は値上げの根拠になりません。 先に「月次で何をしているかを出せる状態」をつくることが、単価見直しの前提です。

単価を見直す3ステップ:可視化から交渉まで

私たちが実際に動かしたのは、以下の順番です。

STEP 1:月次の保守作業を記録・一覧化できる運用に切り替える

最初にやったのは、日々の保守作業を「月ごとに何件検知し、何件対応したか」として記録に残せる形に整えることです。

私たちは、MONJI+の「Webサイト異常検知&改善機能」を使って、月次の保守フローを組み立てました。

  1. 定期実行でサイト全体をPC・スマホ両方の表示で自動巡回する
  2. 検知結果(リンク切れ・画像切れ・SEO設定漏れ・タグ未設置など)を一覧化する
  3. 対応が必要な項目はそのまま修正依頼として起票し、担当を割り振る
  4. 対応後、Google Analyticsと連携して改善結果を数値で確認する
  5. 再発防止のポイントをWikiに蓄積し、次回以降の運用に反映する

この一連の履歴が1つのプロジェクト内に蓄積されるため、月末には「今月の検知件数・対応件数・改善結果」をそのままクライアントへの月次レポートとして提示できます。

STEP 2:手動チェック工数を圧縮し、付加価値業務に振り替える

手動チェックで1サイトあたり月間5時間以上かけていた工数は、異常検知機能を使うことで大きく圧縮できました。浮いた時間を、月次レポートの作成やGoogle Analyticsに基づく改善提案へ振り替えています。

同じ単価でできる仕事の幅が広がった状態が、単価を「上げる」交渉に入る前の、提供価値の土台そのものになります。

STEP 3:数カ月分の実績を積んでから交渉に入る

単価改定の交渉に入ったのは、月次レポートを数カ月分積み上げてからです。「先月はこれだけの異常を検知し、これだけ対応し、GAで見た数値はこう動いた」という履歴がある状態で、「運用の中身がここまで広がっているので、契約条件を見直させてください」と話せたとき、交渉の前提がすでに整っていました。

値上げを切り出したのは「相場が上がったから」ではなく、「提供している中身がこう変わった」と説明できる状態をつくってからです。

実際の結果:複数クライアントで単価改定を受け入れてもらえた

この3ステップを動かした結果、保守契約のうち複数のクライアントで月額単価の改定を受け入れてもらいました。改定後の金額は、従来の数万円台から5〜10万円台へと、市場相場に沿ったレンジです。

単価改定と同じくらい大きかったのは、クライアントとの会話の質が変わったことです。「今月の保守では何を見ていて、どんな異常があって、どう直したか」が毎月の打ち合わせで共有される状態になり、「保守費は何に使われているか分からない」という以前の空気が解消されました。

値上げを切り出した側とそれを受け入れた側の双方が納得感を持って改定を進められた背景には、数カ月分の月次実績があります。

注意点:自動化できる範囲と、人が見る必要がある範囲

自動検知で対応できるのは、機械的に判定できる範囲の異常です。デザインのズレ、アニメーションの動き、フォーム送信時の挙動など、人の目での確認が必要な領域は残ります。私たちは、自動検知で拾える異常は機能に任せ、人力でしか見られない項目にこそ時間を割くようにしています。

また、すべてのクライアントで一律に単価アップが実現したわけではありません。契約内容や予算の枠に制約がある案件では、「月次の保守範囲をやや絞り込んで、現行単価で継続する」という選択をしたケースもあります。単価を上げるかどうかの最終判断は、個々のクライアントとの関係性と提供価値のバランスで決めるべきだと考えています。

現場から生まれたWebサイト運用支援プラットフォーム【MONJI+】

私たちが現場で感じてきた課題を解決するために生まれたのが、 Webサイト運用支援プラットフォーム【MONJI+】です。

【MONJI+】は、Webサイト運用に携わる「人」を1つの「チーム」にまとめ、 Webサイト運用のあらゆるフェーズを横断して、課題を解決するプラットフォームです。

私たちは、最初から”完成されたプロダクト”を開発することを目指していません。

本当に向き合うべき課題はWebサイト運用の現場にあり、 だからこそ私たちは、現場のリアルな声と向き合い続けてきました。

一つひとつの声を受け止めながら、小さな違和感を解消するアップデートを重ね、現場の課題から新たな機能も生まれてきました。 そうした積み重ねを経て、【MONJI+】は世界77ヶ国のユーザーさまに支えられる存在となりました。

▼【MONJI+】について、詳しくはこちらをご覧ください

https://monji.tech/ja/plus/

 

Webサイト運用の現場で働く人が、 誇りを持って「この仕事が好きだ」と言える世界。

▼その実現のために、あなたの声をお待ちしております

https://monji.tech/ja/plus/co-creation/

 

まとめ

  • WordPress保守の月額相場は数万円台から5〜10万円台へ移行しつつあるが、既存契約の単価は自動では変わらない
  • 保守作業の大半はクライアントから見えない裏側の対応であり、「見えない作業」は単価見直しの根拠にならない
  • 単価見直しの前提は「月次の保守フローを可視化し、検知・対応・改善結果を記録に残せる運用に切り替えること」
  • 手動チェックの工数を圧縮して付加価値業務に振り替えることで、同じ単価での提供価値が上がり、単価改定の土台になる
  • 交渉に入るのは数カ月分の月次実績を積んでから。「提供している中身がこう変わった」と説明できる状態が前提
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